banner

 

純血を維持し続ける大変さ

犬には「犬種」というものがあります。犬種と犬種が混ざり合うとそれはハイブリッドとなります。さらに混ざり合うと「雑種」として位置づけられます。現在の愛玩犬は、自然由来のまま手が入れられていない犬種の方が少ないかもしれません。犬と人の関わりは古くから続いているものです。その歴史の中でさまざまなシーンのために「調整」された犬種がたくさん存在するのです。

それらの犬種は「こだわり」を持つオーナーにとってはとても重要なことです。また、「純血」であるかどうかも重要です。犬によっては「血統証明書」というものもあります。どのような系譜をたどってその個体に至るのか、それが記されたものです。そのような証明書が必要なほど、「犬種」はセンシティブなものです。

確かに、時代によって人気の犬種が存在します。屋内で飼う小型犬が大人気になったり、かといえばシベリアンハスキーのような屋外タイプの犬種が人気を博したりするものです。それらの「トレンド」とは関係なくそれぞれの個体はその犬種を守るために同犬種間の交配を行うことになります。ですが、その「同犬種間」の交配というのがブリーダーの規模によっては不可能であることもあります。

同じ犬種で複数の個体をキープしていることがまず少ないです。もしいたとしても、その個体が親類関係であれば交配させるわけにはいきません。どのような動物でも近親婚はリスクが高いのです。そのため、交配させるためにパートナーを探すことになります。これは同じくその犬種を繁殖させたいプリーダーとの交渉になります。もちろん、その相手先が本当に純粋な犬種かどうかということも確かめなければいけません。それはお互いも同じことです。互いにその個体が純粋なその犬種であることが判明すれば、交配させ、やがて生まれる仔犬を分けることになります。

「血統」はそのようにして守られます。これは犬が人間と深く関わるようになったからです。これが自然界であれば、こうはいきません。「犬」であるだけで同族であり、「犬種」は私たち人間がかってきに決めた括りでしかありません。たしかに犬種によって体のサイズなどに大きな違いはありますが、それにしても同じ犬であれば交配可能なのです。それを私たち人間がさらに細分化し、「血統」として守り抜いているのです。

そのようにして派生した犬種間では、たしかに同じ犬とは思えないほどの個体差があります。基本的な生態は同じでも、その姿形、正確に至るまで、たしかに犬種間の差はあるのです。ここまで深く犬の生態に関わっているのですから、ブリーダーの担う責任というのは犬にとっても重要です。特に、自然分娩が困難になった犬種に関しては自然繁殖ということがありえないわけです。

そのような状況の中でひとつの犬種を維持し続けることはとても大変なことです。基本的にブリーダーは父親になるための犬、母親になるための犬をトレードしながら繁殖させています。近親婚は確実に防ぎ、仔犬へのリスクを少なくするためです。そのような地道な取り組みから、私たちの元に純粋な犬種が届けられているのです。同じ犬であっても、その個体の特徴を維持するためには想像を絶する労力がかけられているのです。

Copyright(c) 2012 ブリーダーとは All Rights Reserved.