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犬の人格も成長する

犬は知能が高い動物ですから、しっかりと「自己」と「他者」を区別します。記憶力も豊かですし、睡眠中に「夢」を見るともいわれています。しっかりとした「自我」をもっているのです。仔犬の頃は見るものすべてが新鮮で、なんにでも興味を持つものですが、成長するにつれ興味の対象も変わるものです。やがて自身が仔犬を育てるようになると、母性本能も働きます。

言葉を語れないだけで、犬はさまざまなことを覚えます。自分の飼い主が誰なのかということや、自分はどういう名前で呼ばれているのかということまで、さまざまなことを覚えるのです。それらのことを覚えるにつれ、「人格」といえるものが発達していきます。仔犬の頃は少し変わったことがあると怯えたり動揺したり、逆に興味を示したり、それでひと通り遊んでみたりするものです。自分よりも体の大きな犬を怖がったり、新聞の配達員やガスの点検の作業員が怖かったりするものです。

それが成長していくにつれ、なんでもないことになったり、知らない相手に対してはたくましく吠えたりするようになるのです。精神的に成熟すると、飼い主を困らせるようないたずらなどはなくなり、信頼できるパートナーとしての関係を築けるようになります。

犬なので「人格」と呼んでいいかどうかは微妙なところですが、犬はそれぞれが個性を持ち、置かれた環境、つまり飼い主とともにいる環境を自身に反映させます。言葉で通じない分、飼い主やその家族の仕草や声の調子などを敏感に感じ取っています。何をすれば飼い主が喜んでいるのか、自分も楽しく幸せになれるのかということを感じ取っているのです。

犬が持つ気持ちはある程度であればその仕草から汲み取ることができます。例えば嬉しいときなどはしっぽを振ります。飼い主が近づいてきたり、これから散歩に行くということがわかったりすると、犬は大はしゃぎするでしょう。逆に、叱られたり怖いことがあったりすると、犬はしっぽを丸めて怯えたような顔をします。感情が豊かであることの証左として、犬は顔の筋肉が猫よりも複雑にできています。さまざまな表情で私たちにその気持ちを表現してみせてくれるのです。

成長するにつれ、その表情はどんどん複雑になっていきます。笑っているように見えたり、思案しているように見えたり、悲しんでいるように見えたりします。それは決して私たちがそう勝手に想像しているだけなわけではありません。その犬を叱ったときの表情を見てみてください。「叱られている」ということがわかっている表情をしているはずです。

犬には犬の視点、感覚があるので、そのすべてを私たちと共有できるわけではないのですが、言葉を超えた共感、言葉を超えたコミュニケーションは可能です。それはその犬が成長するにつれ、より深いものになっていきます。

その犬の感情を育てるのはその「環境」です。そして飼い主です。その犬の考えのすべてを理解することはできないのですが、より健全な精神状態を維持してやることは、工夫次第でいくらでも可能です。しつけや遊びを通じて、その犬の精神、人格を「成長」させてやるという意識を持てば、感情豊かな愛犬と言葉を超えたコミュニケーションをとることが出来るようになるはずです。

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