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動物をただ愛でるだけではないこと

何か動物を「飼おう」と意識した瞬間、ほとんど人は「幼生」の個体をイメージします。成長したその動物よりも、また幼い動物をイメージするはずです。なぜなら、そこには「育てたい」という意識があるからです。また、成長していると「なつかないかもしれない」とも思うわけです。ですから、ほとんどの愛玩動物は子供の状態で取引されます。成長しすぎると、なかなかオーナーが見つからなかったりするのはそのためです。

どのような生き物も幼生の時期というのは人に愛されるものです。「子供」という存在、状態に対して私達は「守らなくてはいけない」という意識や、「愛でる」という感覚が湧いてきます。それは動物としての本能のようなものです。これから家族に迎えるその動物も、最初はやはり「小さい状態で」と考えるのは自然なことです。その動物の一生と添い遂げるわけですから、本当であれば「生まれてからすぐ」にでも引き取りたいはすです。

ですが、犬などの動物の赤ちゃんをそのまま販売できない理由があります。「生まれたて」の状態ではまだ抵抗力がついていなかったりするからです。ですから、どのようなペットショップに行っても、数ヶ月経過した動物が販売されています。それはある意味「この個体は引き取られても大丈夫だ」と判断されたためです。動物を繁殖させ、その状態を管理し、責任を持って販売するのは容易なことではありません。

動物の赤ん坊は複数生まれます。一度の妊娠、出産で、同時に複数匹の赤ん坊が生まれるのです。母となる動物は一度に複数の子供を育てることになります。これにはその「理由」があります。それは「種を絶やさないため」です。プリーダーや飼い主に守られた安全な環境ではなく、これが自然界であれば、生まれたばかりの子供にとって、「そこに存在すること事態がリスク」になります。親に守ってもらおうとしても、一度に複数匹の親になっていますから、そうもいかない局面もあります。何らかの危機が訪れたとき、そして安全を脅かす外敵に狙われた際、確実に無事でいられる保証がありません。ですから「複数匹」生まれます。

自然界では弱い動物は淘汰されます。環境に適応できなかったり、外敵から身を守れなかったりすると命を落とすことになります。どのような動物にも常に「リスク」があります。そのようなリスクを乗り越えるために「種」としてさまざまな対策を講じています。それは「生きるため」の、そして「子孫を絶やさないための」対策です。その中のひとつに「一度にたくさん生まれる」というものがあるのです。もちろん、すべての子供が成長すればそれにこしたことはありません。ですが、そうもいかないのが自然界です。

ブリーダーの元で幼生をある程度育てるのは、どのような環境にも馴染めるような丈夫な個体に、少しでも育てることも目的ですが、「ハンデキャップ」などをもっていないか、しっかり成長するかを見ぬくためでもあります。自然界ではそのような個体は生きていくことができませんが、人間の環境のなかでは可能なのです。ですが、残念ながらそのような個体は販売するわけにはいきません。それぞれの個体は人に「選ばれる」ことを経て各家族に入っていく必要があるのです。

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